名もなき毒 (文春文庫)
みゆき, 宮部
文藝春秋
2011-12-06

本来ならば通勤時間に読む予定の本です。緊急事態宣言は解除されました。しかし、まだ在宅勤務は続いています。おかげで通勤時間以上に読書の時間が生じています。「カラマーゾフの兄弟」と平行して宮部みゆきさんの杉村三郎シリーズを読んでいるのですが、「カラマーゾフの兄弟」の倍以上のスピードで杉村三郎シリーズが読めてしまうので、非常にバランスが悪くなっています。意識して「カラマーゾフの兄弟」を読むようにしなくてはなりません。
資産家、それも半端ではない資産家に逆玉の輿になるのは少しく憧れます。経済的困窮から解放されたい気持ちが半端ではなくあるので。でも、経済的な不安から解放されても、とてつもなく面倒な家族付き合いが待っていると思うと尻込みする自分が容易に想像できます。家族に束縛されずに自由に生きている時間が長すぎるせいか、普通の家族付き合いでもストレスなのに、資産家家族との付き合いなど私には無理でしょう。という訳で、主人公の杉村三郎はエライと勝手に評価しています。事件を解決に導くスキルとは別の次元で。
本作では人に死をもたらす毒物と家にまつわる毒物、それとは別の抽象的な毒について語られます。私も一時期名前のない悪意に毒されていた(本作で描かれるモノよりはるかに些細なレベルです)ので、身にしみるような部分がありました。それは、きっと誰もが大なり小なり経験したり身近で見聞きしたりしているからこの本の読後感が成立するのでしょう。そういう読書を通しての疑似体験を絶妙なさじ加減で表現する作者の力量に満足させられました。とても良い読書体験をさせて頂けました。



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