読書感想ブログ

小説、漫画、映画、ドラマの感想文です。 二匹の猫と暮らしていますので、猫の話も少々あります。

松本次郎

未開の惑星 上・下

未開の惑星  上
松本次郎
太田出版
2013-10-30

家の本棚にあったのを読んだ。と言っても読んだのは数年前になる。“鬼才”松本次郎の3作目の中編作品だ。初めて読んだときはとても大きな衝撃を受けたのを覚えている。松本次郎作品の主人公はエンディングで救われたり新たな目標を持ったりして、先の明るい状態にいることが多い。しかし、この作品を読み終えたときの感想はこれで良かったのだろうか?というものだった。何事にも無気力で妄想の世界に浸ることの多い主人公がそれを超えて現実世界に向き合っていくという姿だと思われるのだが、それで過去を振り切ることができたのかというとそうではなくて疑問が残る終わり方だった。しかし、そこに辿り着くまでの痛々しさは消えていた。松本次郎の作品はラストで心を鷲掴みにしてくるものが多いが、この「未開の惑星」はそうではなかったのかもしれない。作者の意図がどの辺にあったのか聞いてみたい気もする。
昨日の夜自分の身体を使って実験がしてみたくなり、処方されている分量を大幅に超えて多幸感があるとされる向精神薬を飲んだところ、精神的な部分には特に何も起きなかったものの異常なくらい喉と口の中が乾いて不快な状態になったその状態は一夜明けた今日も続いている。身体に異常が出ているので全く作用がないわけではないのだろうが多幸感は幸か不幸か全く訪れなかった。時には依存症になるとされる薬だったので、その効果に期待していたのでかえってがっかりした気分になった。もっと多量に飲まないとその真価が分からないのかもしれない。毒キノコも小さく囓りながら食べれば、毒に当たる寸前までなら食べられないこともないというので、この薬も少しずつ服用量を増していけばハイな気分になれるのかもしれない。しかし、その前に身体への影響が強く出て我慢できなくなるかもしれない。今日はもうこれ以上摂取すると明日の仕事に差し障りが出るかもしれないので、実験を続けるのはやめておくことにした。来週の週末は往復4時間をかけて茨城県つくば市まで心療内科に通院しなくてはならないので実験の続きは再来週の週末まで延期することになる。もう一歩二歩踏み込んだところでどの様な結果になるか楽しみである。
テラの眼薬がきれて眼の状態が思わしくない状態になったので獣医に連れて行った。推定1歳の雄猫としては小柄だと思っていたが、獣医で体重を測定したところ「すいぶん大きいですね」と言われた。顔が小さいために見た目が小さく感じられるので、そのギャップがあるのかもしれない。獣医の診察の結果、眼には深刻な問題は全くないことがわかり一安心した。これまでの「抗炎症剤+抗菌剤」から「ステロイド剤+抗菌剤」に処方される目薬の組み合わせが変わった。ステロイド剤は副作用が心配だったが、内服薬と違い目薬ではほとんど問題ないと言われた。テラの眼の調子を見ながら点眼して行きたい。最近はテラが力をつけてきていて嫌がるところに目薬をさすのが段々難しくなって来ている。これも成長の証なのだと思う。こちらも目薬をさすスキルを磨かねばならない。あと10日ほどでテラの初の推定誕生日が来る。特にお祝いなどする予定はない。いつもは週1回に限定している生エサを与えるか、マタタビを与えるかくらいだ。生エサの方は素直に喜ぶ姿が目に浮かぶが、マタタビの方は良い反応が返ってくるかはわからない。思い返してみたところ、これまでテラにマタタビを与えたことがないことに気がついた。マタタビは個体差があるという話や、子猫には効果がないこともあるという話を聞くので、推定誕生日に投与実験してみたい。効果はあるのだろうか。これまで4匹の猫を飼ってきたがちゅーるはどれにも与えたことがないので、今回試してみるのも良いかもしれない。今月末には私の仕事も落ち着いてくると思うので、ゆっくりとテラの1歳を祝ってやりたいと思う。

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いちげき 7巻

いちげき (7) (SPコミックス)
永井義男
リイド社
2021-03-13

啓文堂で購入して読んだ。松本次郎の長編連載の最終巻である。松本次郎初の原作ありの作品で、作者は永井義男だ。松本次郎が時代物に興味を持っていることは過去の短編でもちらほらと匂わせてきていたので理解できていた。ただしここまで本格的にやるとは思っていなかったので意外な感じがしていた。しかし、最後まで読み進むと、原作があっても時代物であってもやはり松本次郎作品の読後感は独特で、余韻を楽しむことが出来るものだということが分かる。なぜ松本次郎がこの作品に挑んだのかを、どこかで疑問に思いながらーもしかしたらなんの前触れもなくいきなりSF的な設定が入り込むのではないかといった期待のようなものを心の片隅に思いながらー読んでいる自分がいたことは否定できないが・・・
また、この時代の日本には厳然とした身分制度があったことに思い至らせられる作品でもあった。明治維新で身分制度が撤廃され、第二次世界大戦が終わって貴族もいなくなり、日本はのっぺりとした国になった。私は最下層の出身であるので、身分の上下が無くなったこと自体は良いことであると思っている。とは言うものの、今、日本の社会がここまで停滞しているのを内側からみていると、みんな平等という環境が競争を阻害して活力を削いでいるようにも感じられる。階級差を押しのけてのし上がっていく人が次々に現れて、その他大勢を引っ張って、社会構造を根底から覆していくような環境はこの国にはもはや無い。ただあるのは経済的格差社会のみである。私はその他大勢の下層にいる。最下層に生まれワンランクアップしたと言えるだろうか。ワンランクアップしたからといっても一握りの経済勝者になれる可能性は、人生のどのタイミングにもなかった。今後もない。その他大勢の中層や上層になる可能性ももはやない年齢だ。頼みの綱は宝くじと株式投資だけだ。どちらも私を裕福にしてくれる確率は、雷に打たれて死ぬよりも低いと思われる。経済格差は固定化されている。少なくとも私にとっては・・・
経済的に豊かであったら人生は違うものになっただろうか。考えてみても分からない。何となくだが、余程豊かにならなければ変わらないような気がしている。富裕層になって、金で幸せが買えるような身分になって、初めて、違う人生が開けるといったような展望だ。金で買える幸せを本当に求めているかも分からない。想像力が届かない。ただ、経済的に何らかの不満を抱えたその他大勢に含まれている限り、下層であろうが、中層であろうが、上層であろうが似たものではないか。そんな気はする。私の貧困な想像力では、経済的勝者と言えるレベルの金持ちになっても、1人で生活し猫を数匹飼っている姿しか思い浮かばない。私が孤独を愛する動物であることは深いところで不変である事だと心が感じている。孤独は貧しくても味わうことができる贅沢だ。1つ違う事があるとすれば嫌な仕事から解放されると言うことかもしれない。しかし、仕事には肉体を健康に保つ生活のリズムを支えているといった側面があり、会社に通わなくなった私はきっと肉体的に不健康になるだろう。全てのストレスからの解放は比較的若くに痴呆になる恐怖も感じさせる。結局、今のままの生活から抜け出す努力をしない、その他大勢の下層民であるところの私は、拙い想像力の届く範囲の人生を過ごすだろう。そんなことを日曜日の朝に考えている。

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いちげき 5巻

いちげき (5) (SPコミックス)
松本次郎
リイド社
2019-09-13


刊行速度についていけず遅れていましたが、ようやく5巻で新刊の刊行に追いつきました。
帯には映画化が進行中と書いてあります。松本次郎さんの漫画は映画化が困難な作品が続いていました。「女子攻兵」などは、アニメ化すら困難な作品です。私の希望としては「私のお父さん」を映画化して欲しかったのですが、「いちげき」も映画向きの作品なので良いかも知れません。松本作品が映画化されるのは、「フリージア」以来のことだと思います。良い出来映えになればよいと祈っております。
一撃必殺隊からはぽつぽつと殉職者が出ていましたが、5巻になってほとんど死んじゃっています。話の流れ的には伊牟田と丑五郎の決着をつけないといけないように思われます。一対一で勝負するのでしょうか。わかりません。遅くとも次の巻にはそういう話が出てくるはずです。期待して待つことにします。
時代劇だから仕方ないのか、それとも別の理由があるのか分かりませんが、これまで必ずと言ってよいほどどの作品にも出てきていたミー太が、本作には出てきません。猫好きには少々寂しい次第です。



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いちげき3

いちげき 3
松本次郎
リイド社
2018-03-27


松本次郎はまさに鬼才という呼び方が相応しい作家だと思います。これまでは”精神に異常を来すとはどういうことか”ということに力を注いでいたように感じていました。しかし本作では、筋肉の描写に力を注いでいるようで、精神についてはあまり語られていません。精神が語られず、すこしがっかりしましたが、しかし迫力のある画がそんなことを忘れさせてくれます。
原作のある作品なので、その気になれば原作を読んで話の展開を知ることができるのですが、やはり、そのようなことはせず、松本次郎の語り口に身を委ねたくなります。既に5巻まで出ているのに、なぜ3巻なのかというと、私が引越等に追われていたため、新刊が出ていることに気がつかなかったからです。松本次郎の新刊の発売に気がつかないなんて、自分でも信じられません。おおいに反省しつつ4巻、5巻を読みたいと思います。



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