読書感想ブログ

小説、漫画、映画、ドラマの感想文です。 二匹の猫と暮らしていますので、猫の話も少々あります。

短編小説集

白鳥

白鳥 (幻冬舎文庫)
村上 龍
幻冬舎
2000-04-01

図書館で借りて読んだ。村上龍の短編小説集だ。内容としては恋愛の要素が強めだった。最近は仕事が忙しくその合間合間に読んだので、刺激的な内容だったという記憶はあるものの大まかなストーリーさえ頭の中に残っていない。読書体験で得られる物より実生活からの刺激の方が強かったと言うことだろうか。全体の構成としては連作短編となっている3つの作品が軸になっていて、そこではキューバという国の人や音楽が紹介されていた。収録されている作品で奥付からわかることは1980年代から90年代が舞台となっているということだ。もっと細かく言うと1986年から1996年の10年間に発表されたものだ。その頃の私は中学生から大学生だったが、時代の流れに疎い生活をしていたので同時代感はほとんど無かった。それは逆から考えると、この短編集が普遍的な価値を持っているということかもしれないことを示している。小説に限らず創作物の評価をするときには普遍性という基準で考えるようにしている。それは流行廃りに影響されない物のことだ。だからこの作品集は良い物だったと思う。
このところテラの眼の調子が思わしくなく、左眼だけではなくて右眼までも涙で濡れている状況だ、それなので今日は獣医の所に連れて行く予定にしている。テラは生まれて間もないときに保護された猫だが、保護されてから酷い猫風邪に罹ったらしく、左眼の目蓋と瞬膜が癒着を起こし眼が全く開かなくなり、膜を切り開く手術を受けたものの全てスッキリと治ったわけではなく、瞬膜と結膜に後遺症が残って眼球の3分の1程度が常に膜がかかった状態になってしまっている。そのせいでテラの左眼はいつも炎症を起こしていて涙を流している状態で、そのため毎日朝と夕方に目薬を2種類さしてやらねばならないことになった。消炎症剤と抗菌剤の2種類だ。2種類のうち消炎症剤が切れてしまっているのが今回右眼までも炎症を起こした原因かもしれない。言い訳になるが、このところ仕事が断続的に忙しく休みの日にはどこにも出掛けられないほどぐったりとしてしまっていたので、目薬が切れるまで病院に連れて行くことができなかったのだ。一昨日も昨日も深夜まで残業をしていたため、できれば今日もどこにも出掛けたくはないのだが、テラの眼の状態を見ているとそんなことを言っている場合ではないようなので、獣医の所に行って新しい薬をもらってくる予定だ。薬が切れてしまったことと眼の状態が悪くなったことの相関性は分からないが、今してやれることをしないと後で大変後悔することになる可能性があるということをトトが死んだときに学習した。テラの眼の状態は死を考えるところまで酷くはないし、猫風邪を再発した訳でもないので、少し大げさに考えているということはわかっている。でも万が一ということもある。転がる先の杖だ。
テラはそろそろ1歳になる。正確な誕生日は不明だがおそらく6月の終盤に生まれたと推測されるので、誕生日は6月31日に設定している。猫が子どもの時は体調が急変したりすることもあると思うが、1歳を過ぎて成猫になれば急に体調を崩すことはなくなるだろう。少し安心できる。1歳になれば与えている食餌もアダルト用のものに変えてやるつもりだ。我が家の猫は完全室内飼いであるうえに、平日の日中は私が会社に出勤しているため、ハードな運動をほとんどしていない。そのため、これからは体重管理が大きなウエイトを占めることになるだろう。この数ヶ月でテラの下腹に余分な肉がつき始めている。おそらくこれは食餌を制限しても無くならないだろう。これ以上余分な肉がつかないように気をつけるようにしたい。

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特権的情人美食

特権的情人美食 村上龍料理&官能小説集
村上 龍
ベストセラーズ
2007-11-10

図書館で借りて読んだ。村上龍の自選短編集だ。主に美食について語られた短編小説が収められている。村上龍にとって美食というのは大切なモチーフなのだろう。それだけで短編集ができるくらいに。
もともと村上龍の小説は「コインロッカー・ベイビーズ」くらいしか読んだことがなかった。多分十代の頃のことだ。その記憶の中でオムライスについて書かれた部分がなぜかいつまでも記憶に残っていた。話の本筋とは関係なく書かれていて違和感があったのかもしれない。オムライスはもちろん美食ではない。しかし、おそらく村上龍にとっては作品中に盛り込まなくてはならない切実な思いがあったのだろう。そんな気がする。
私はどちらかというと貧しい家に生まれたので子ども時代から食は質素な方だった。長じて大人になっても必要以上に高い食事を食べることに気後れする人間になってしまった。サラリーマンの給与ではもともとそんなに豪華な美食は無理な話ではあるが、財布の中身が豊かなときでも食事は質素な方が好ましいように感じられるからだ。さらにこの一年ほどはダイエットのためカロリー制限をしているのでますます美食から遠ざかっている。でも、心の奥底には美食に対する憧れのようなものがあって、ついついこの「特権的情人美食」のような本を手に取って読んでしまう。
美食には美酒がつきものでこの短編集でも何回かワインについて語られている。村上龍はカリフォルニアワインが気に入っているのか、この小説が書かれた時期にカリフォルニアのワインが注目されていたのか分からないが同じ銘柄が複数回出てきていた。私は美食や美酒を飲み食いすることはないのだが、一時期ワインを購入することにはまっていたことがある。飲むのではなく買うことが楽しかったのだ。もちろん貧しい給与からの支出なので「特権的情人美食」に出てくるような高価なワインを買っていたのではなく、リーズナブルなワインを購入していた。茨城県土浦市に鈴木屋というインターネット通販を主に取り扱っているワイン専門店の実店舗があり、そこから近いつくば市に居住していた時期にその店に通っていたのだ。鈴木屋は茨城県という僻地(というのは言い過ぎかもしれないが)にありながら、品揃えは素晴らしく豊かで膨大な量があり、何十万円(なかには百万円以上のものもあったらしい)もする高級ワインから数千円のデイリーワインまで、国や地域で言うとフランスやイタリア、ドイツ、スペインなどヨーロッパのワインが主ではあったが広く世界からワインが集まっていた。ただしカリフォルニアのワインは見かけなかったような記憶がある。村上龍ならがっかりしたかもしれない。
私にはワインの知識はほとんどないので、一本一本のワインのボトルに貼られている商品の説明書きやそれぞれの銘柄ごとにつけられたポップを頼りに掘り出し物を探して購入していた。初めは赤ワインばかり購入していたが、次第に白ワインやスパークリングワインに手を染めるようになり、最終的にはドイツのリースリングにはまって細長いボトルばかりが家のワインセラーに納められることになった。数年前、茨城県から江戸川区に引っ越したことで鈴木屋に通えなくなり、同時期に家で使っていたワインセラーが故障したこともあって、私のワイン熱は唐突に終わってしまった。私は基本的に無趣味な人間なのだが、時々あることに熱中する癖があり、ワインもそのなかのひとつと言える。他にはボーリングや釣りなどに熱を上げていた時期もあった。基本的に一人で楽しめることに興味を覚えるようだ。それぞれの理由があってワインもボーリングも釣りも数年で熱が冷めてしまったが、いつまで経っても熱が冷めないのが読書だ。その延長線にこのブログがある。まだ始めてから1年半ほどだが注ぎ込んだエネルギーや時間は積もり積もって膨大なものになっていると思う。できれば長く続けられたら良いなと思っている。

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