読書感想ブログ

小説、漫画、映画、ドラマの感想文です。 二匹の猫と暮らしていますので、猫の話も少々あります。

集英社文庫

教団X

教団X (集英社文庫)
中村 文則
集英社
2017-06-22

中村文則さんの15冊目の作品です。
中村文則さんはこの「教団X」に出てくる教祖のようなキャラクターが好きなのでしょうか。他の作品にも類似のキャラクターが出てきます。悪の象徴として使い回しているのかもしれません。この「教団X」には主人公は存在しません。最初と最後に出てくる楢崎が主人公だと思っていましたが、あまり主人公らしいことはしません。立花涼子の方が主人公らしく活発に動きます。しかし、それでも主人公と言うには、なにか足りません。様々な視点から物語を構成することで、読者の作品への取り組み方を変えさせて、多様な角度から物語を読ませるのが作者の狙いなのでしょうか。わかりません。もしかすると、登場人物の誰かに感情移入して読まれるのを嫌ったのかもしれません。
私は、夜寝る前にベッドの中でこの本を読みました。文庫版ではなく単行本で読みました。600ページ弱のかなり分厚い本なのでハンドリングが悪く、やや読みにくかったです。読むなら文庫版の方が良いと思います。文章自体はこなれていて、非常に読みやすいと思います。



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妖怪ハンター 水の巻


「妖怪ハンター 水の巻」です。
カバー裏面の紹介文がやはり良いです。「底なしの冥き淵より、濃霧をまといて、古の邪念と妄執が、おぞましき姿で蘇る。」この短編集には7作が載せられており、うち4作には稗田礼二郎が出てきません。少しパワーダウンしていますね。収録されている7作のうちでは、「淵の女」が好きです。カッパが出てくるお話です。カッパに尻子玉を抜かれると、笑いながら死ぬそうなのですが、その表現方法がストレートで良いのです。読んでいて思わず笑いました。
古い妖怪ハンターシリーズは、一話完結の形で書かれているので、夜寝る前に読むのに適しています。眠くなったところでいつでも本を閉じられるからです。私は睡眠障害に悩まされているので、夜は睡眠導入剤を飲んで寝ています。薬が効いてくると急激に眠くなります。ベットに入ってから眠気を催すまでの時間に、ちょうど良い本があるととても助かります。



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妖怪ハンター 地の巻


諸星大二郎の妖怪ハンターシリーズから、地の底から這い上がってくるような何者かを描いた話を集めた短編集です。このカバーの裏の紹介文がとても好きです。
「ぬばたまの闇の底どよもす呻き声。」
「冥き世界にうごめく異形の者ども・・・。」
いいですね。
この「妖怪ハンター 地の巻」には、私が約30年前に新宿の漫画喫茶で読んで、衝撃を受け、以後精神に異常を来す遠因になった傑作「生命の木」が収録されています。善次が叫ぶ「私と一緒に天国へ行こう」という意味の台詞を読んで、静かな漫画喫茶の店内に響くほど笑ってしまいました。衝撃でした。それからといもの、当時はまだアマゾンがなかったので、古書店をまわって諸星大二郎作品を買いあさり、収集するようになりました。しかし、会社に就職するにあったって引っ越す際に、泣く泣くコレクションを処分したのです。そういうことがあって、この文庫シリーズが発売されていることを知った時は嬉しかったものです。妖怪ハンターのプロローグも読めてお得な一冊だと思います。



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明るい悩み相談室


本書は朝日新聞紙上で連載されていた、中島らもさんの人生相談をまとめたものです。私のお気に入りは、幼い子供達に自分は狸であるから、あなたたちが大人になる頃には山に帰らなくてはならないと話し、子供を泣かしていた母親が、子供が大きくなり「いつになったら山に帰るのか」「もうそろそろでしょ」などと言うようになってしまった、という悩み相談です。中島らもさんのすばらしい回答には、なるほど、と思わされました。他にも、くすりとさせられる悩みや回答のオンパレードで何度も読み返せる良い本です。



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失われた時を求めて



集英社文庫版全13巻に取り組んだのは5〜6年前のことです。この秋に遂に読了しました。とにかく長かった。途中何度も挫折しながらも、この超大作に立ち向かっていった読書体験は、何かを成し遂げる強い意志の欠片とでもいうものを私の中に残してくれました。
訳注を読まなければ何を書いているのか分からないところや、一文一文がとても長く意味が掴みにくいところなど、気を抜いて文字を目で追いかけるだけでは、内容を理解できないという取っつきにくさは、最初から最後まで一貫していました。それだけでも敷居の高い作品だと思います。
プルーストの美意識や感受性の鋭さが作品中にあふれていて、芸術作品として、20世紀を代表する小説という肩書きももっともだと思いました。
次は「ユリシーズ」に取り組もうと思います。いつか。



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